更新日: 2018.07.11  カテゴリー: 地域おこし協力隊

地域おこし協力隊はかなり向き不向きがある仕事。新卒で挑んだ現役隊員がメリットとデメリットを解説します!

はじめに

こんにちは!
室戸市地域おこし協力隊のかなはしもと(@khashimoto1105)です。

橋本果奈

新卒で地域おこし協力隊になってはや3年目!当時、自分の周りには新卒で地域おこし協力隊になる人はほぼいなかったので、かなり思いきった決断でした。

同じ高知県で地域おこし協力隊をやっている、のっさん(@nosaka_muscle )も新卒で協力隊になったひとり。

今回は彼の記事にのっかって、Part2記事を書かせてもらいます。

→ 新卒で地域おこし協力隊というキャリアのリアルを現役が語ってみる。メリット・デメリットを本気で書き出していきます。

新卒で地域おこし協力隊になる人にもいろんな人がいると思います。

それぞれ違う事例を比較して見れると役立つと思い、ほとんど同じ記事構成でお伝えしていきます!

ぜひ、のっさんの記事と合わせて読んでみてください!

新卒で「地域おこし協力隊」というキャリアを選んだ理由

休学してみつけた目標

わたしがなぜ新卒で地域おこし協力隊になったかを語るには、まず私の夢について語らなければいけません。

私の夢は「環境保全で稼げる仕組み」をつくることです。

日本の里山は人の手が入るからこそ、守られている環境です。しかし今、過疎高齢化が進む中でその貴重な環境は失われつつあります。

そこへ、よそから来た人が魅力的な体験をし、それを通して里山に人の手が入れることができれば、その環境を持続的に守ることができます。

この着想を得るきっかけとなったのは、休学してタイで体験した野生動物保護のボランティアです。滞在した村では、参加者から参加費と労働力を得るかわりに、そこでしかできない貴重な体験を提供していました。私を含め、来た人はみんな楽しみながら、環境を守る活動をしていたのです。それも、参加費を払って。

エサを食べる͡子ゾウ

詳しくはこちら→ 休学してタイで動物保護ボランティアをしたら起業したくなった話

これを日本の里山でもやろう。今、日本にないこの取り組みを始めるには起業するしかない。
そのために最短ルートを歩もうと、決めました。

就活はしていた。でもピンと来なかった

大学4回生のころ、他の学生たちと同じように就活もしていました。

自分がやりたいことに関連がありそうな「旅行業」にしぼり、自然体験の企画ができそうな会社に応募したりしていました。 数年企業でスキルアップしようと思っていたのです。
でも、なんかピンと来なくて…。

そんなとき、ある人から地域おこし協力隊も考えてみたら?とアドバイスされ、そこから協力隊の道も具体的に考えてみることにしました。

起業したい私が就活を早々にやめて地域おこし協力隊を選んだ6つの理由

地域おこし協力隊は起業の最短ルート

地域おこし協力隊の存在は就活をする前から知っていたのですが、実際にどんな制度なのかはわかりません。

調べてみると、
・地域に密着して、3年間起業準備をしながら働ける。
・週4勤務で副業もOK(自治体によって違います)
・卒業時には起業支援金として100万出る(ここも要確認)
・活動の自由もきく(ミッション型フリーミッション型があります)

と、自分がやりたいことを実現するにはぴったりです。

就職しても2~3年でやめて独立したかったわたしは「大企業の中で下っ端のまま過ごす3年」と「はじめから任期が決まっている中でいろんなことができる3年」を天秤にかけ、後者を選びました。

地域おこし協力隊がいかにおいしい制度かを語るよ

募集要項と地域を両方みてきめた

そうと決まれば、数ある地域おこし協力隊の募集の中から、行きたい地域を選ばなければなりません。さっそく、ニッポン移住・交流ナビ JOIN で、各地域の募集要項をくまなくチェックしていきました。

探す上で重視したのは、活動内容でどんなことができるのかというところ。あと、どんな人材が求められているかです。(求められている人物像と自分がマッチするということは、活躍できる可能性が高いので)

その中でいくつか気になる候補地をピックアップ。中でも一番気になった「高知県室戸市」に連絡して、現地を見学しに行きました。

室戸市は、海 山 川 すべてあり、その豊かな資源を利用した産業があります。また、市内でも地域ごとに文化が違っており、特に秋祭りは個性豊かなお祭りが各地で盛り上がります。

室戸は神祭シーズンが一番アツい!~吉良川御田八幡宮の秋祭り~

これだけ地域資源の豊富なところなら、自分がやりたいことができる!と強く感じました。 また、対応してくれた市役所の職員さんたちも熱心で、喫茶店で話した地域の方たちからもよいところだというのが感じ取れました。

新築の家からもち投げをするようす

この見学で室戸を気に入り、大学を卒業したらここに来ようと決心しました。

実は、室戸滞在中に、初内定の電話がかかってきたんです。でも、室戸へ来ることを決めた後だったので、その場でお断りしてしまいました。

これが4回生の6月の話です。
その後は一切の就活をやめて、卒論に集中することに。

実際に着任して2年3ヵ月。素直に感想を書くとすると。

地域の人と一緒にサトウキビを収穫

これが仕事でいいの?ってくらい楽しい!

新卒なので、初めての職場、初めての仕事です。率直な感想は「こんなに楽しくていいの?」でした。

「廃校を活用して地区の活性化」というざっくりとしたミッションがあるものの、アプローチの仕方は自由です。自分の興味のあることや、自分の得意な分野から、取り組むことができました。

また、地域おこし協力隊は、まずは地域になれること、地域を知ることが大事という立場なので、すぐに結果につながらないようなこともさせてもらえたのもよかったです。

具体的には、地域の行事に参加したりだとか、仕事や暮らしの体験をさせてもらったり、地域の方のお話を聞くことだって、活動の中でできます。

これを仕事でできるのは、他ではない地域おこし協力隊の特権かなと思います。

協力隊人生は場所選びで決まる

これだけ聞くと、地域おこし協力隊最高かよ!となるのですが、そのために気を付けたいのは、場所選びです。

地域性が自分に合ってるとか、地域資源が自分のやりたいことに生かせる!といったことも大事です。それだけでなく、自治体職員が自由に活動させてくれそうかも、事前に話すなりして見極めないといけません。

ここを失敗してしまい、自由度の低いところへ行ってしまったり、自分とビジョンが異なるところに行ってしまうと、不幸なことが起こってしまいます。

幸いにも私は自分のビジョンと合った活動を、恵まれた環境の中でさせてもらっています。

自分で考えて動く力が試される

自由に活動させてもらえるということは、裏を返せばすべて自分で決めなければいけないということ。自由と責任ってやつです。

地域おこし協力隊の仕事は、本当に、本当に、これをしろってことが決まってないんですよ。(ミッションによってはあるところもある。)

頭を動かさなければ、本当にヒマになります。忙しいか忙しくないか、有意義な時間を過ごせるか過ごせないかはすべて自分次第です。
何が価値なのか、どうすれば生み出せるのか、考えるのは自分。おもしろい分、大変でもあります。

あいまいな評価基準

仕事を自分で考えて決めていくのと同じくらい大変だったのが、仕事の成果を評価することでした。

地域おこし協力隊として向き合う課題って、決まった正解やゴールがないものが多いです。だって、地域の活性化って言葉がまずあいまいですもん。何をもって活性化なんでしょうか?数値になりづらい価値もたくさんあります。

そんな中で、自分がどれほどの成果を出せているのか測るのはけっこう難しいものです。
自分の足あとをしっかり見つめ、分析するチカラも協力隊には必要なんだなと感じます。

見落としがちな注目度UP

実際になってみて初めて気づいたのですが、地域おこし協力隊って意外と注目を集めるんですよね。

今まで縁遠かった新聞に載ったりすることも、自分の知らない人が自分のことを知っているということもあるし、市内全世帯に配られる広報誌で自分の言葉を発信することもできます。

人口の少ない地方では、プレーヤーの数も少ないから注目されやすいというのもあります。が、それでも協力隊ってだけで注目されてることもあると思います。

注目されるのが嫌だという人にはけっこう苦痛かも。でも、 自分にとってはこれは有利に働くと感じています。

後悔したことは一度もなかった

協力隊もはや3年目となりますが、わたしは一度も地域おこし協力隊になったことを後悔したことがありません。

たまに「地元で活動していたらどうだっただろうな?」とか「他の仕事をしていたらどんな自分になってたのかな?」なんて想像することもありますが、やっぱりこの道が一番だったなと思います。

新卒で地域おこし協力隊になるメリット

メリット

自分的には新卒で協力隊ってめっちゃいい進路では?と思うのですが、それはたぶん人によりけり。進路考え中の方はぜひ、メリット・デメリット比べてみてください!

いきなり自分のやりたいことができる!

一番のメリットはやはり、自分のやりたいことができることかなと思います。
地域おこし協力隊なら、企業で新人と呼ばれ下積みをする期間をすっ飛ばして、いきなりやりたいことができます。いきなりプロジェクトリーダーです。何かやりたいことや熱い想いを持っている人には最適です。

3年間、給料をもらいながらスキルアップができる

活動が自由でやりたいことやってるのに、お給料がもらえるのはありがたい話。やりたいことはあっても、いきなり収益化する自信がない人は、地域おこし協力隊で試行錯誤するのもアリです。わたしはそのパターンで、地域おこし協力隊を次のステップへの準備期間ととらえています。

移住のクッションとしては最適

地方で何かやりたいっていうとき、見知らぬ土地だとなかなか最初は苦労します。
頼れる人もいなければ、家も仕事も探さなければいけない…。というのは、けっこうハードルが高い。
その点、地域おこし協力隊は家、仕事を用意された状態で徐々に地域に慣れていくことができます。

起業準備もできる。なんなら起業できる。

メリットのふたつめとかぶるんですが、起業の準備に地域おこし協力隊はアリですね。なんなら、任期中に起業することだってできます。

・活動でスキルアップできる

・休日が多い(自治体によりますが、うちは週3休みです)

・卒業時に100万円の起業支援あり(※受け入れ主体に要確認)

という点で、リスク少なく、メリットは大きいかと思います。

詳しくはこっちでも書きました
起業したい私が就活を早々にやめて地域おこし協力隊を選んだ6つの理由

若さが武器になる!

これまで書いてきたメリットは新卒に限らないメリットでした。

新卒ならではの武器はやはり、フレッシュさでしょう。
地域の方から孫のようにかわいがってもらったり、いろいろ教えてもらったりできます。もちろん、新卒じゃなくってもそういうことは大いにありますが、やはり少しアドバンテージがある気がします。

新卒でスキルがなく、何にもわからないのは、弱みでもあり、強みでもあります

地域の人の警戒心も、若者相手だと和らぐので、どんどんいろんなことを教えてもらいに行ってます。

最近は、地域の主体性が育つという点で、地域おこし協力隊が多少頼りないほうがいいのでは?なんて仮説を立てたりしています。万能プレーヤーがいるとどうしてもその人に頼っちゃうじゃないですか。できないことを、補い合う雰囲気は、完全じゃない人のほうが作りやすい気がします。

新卒で地域おこし協力隊になるデメリット

デメリット

新卒ならではのデメリットもあります。

同期たちが勝ち取ったキャリアを捨てることに…

新卒で地域おこし協力隊になる一番のデメリットは、貴重な新卒カードを捨てることでしょうか。新卒は、一番たくさんの企業を狙えるタイミングだと思うので、そこを捨てるのはけっこう勇気がいりますね。

わたしの場合は、長い目でみてどっちが自分を幸せにできるか考えた上での選択だったので、新卒カードを捨てるのは特に惜しくなかったです。

指示待ちだとめちゃくちゃきつい

自分で全部考えて動くのが好きなタイプ、指示があったほうが動きやすいタイプ、両方の人がいると思います。前者はいいんですけど、後者はかなり苦労します。新卒だと初めての職場になるので、余計に苦労することになってしまいます。

実際に出会った地域おこし協力隊の方の中にも主体的に動くのが苦手な人はいて、けっこう苦労している様子でした。

友だちができない(笑)

いやー、地方って若い人が少ないんですよー。同い年とかほんっとうに少ないです。

気を使わず冗談言い合える、同世代の友達が少ないのは小さな悩みです(笑)

相談相手はいるからいいんですけどね。

ただのお手伝いさんになっちゃう!?

多くの協力隊が悩み、懸念するこの問題。新卒だと学生っぽさも手伝って、余計に頼まれごとが多くなるかもしれません。しかし、これは自分のさじ加減で簡単に防げます。

もし、お手伝いさんになってしまいそうなときは、意識して仕事の取捨選択することと、自分の役割をしっかり地域の方に伝えるようにしましょう。わたしは、自己紹介とともに担当地区、担当業務を一緒に伝えていたので、そういうことはあまりありませんでした。

気を抜くとだらだら過ごしてしまう

任期は3年間といいますが、正しくは「1年更新で3年間続けられる」です。

もちろん、3年まるまるやる人が多いし、自治体も3年やることを前提でミッションの設定をしていることがほとんどでしょう。けれども、この3年に安住していたらあっという間に任期が終わってしまいます。

自立できそうなめどが立ったら、3年待たずに卒業するくらいの勢いがいいかもしれません。

新卒で地域おこし協力隊になりたい人へ伝えたいこと

デメリットをしっかり考慮すること

新卒で地域おこし協力隊になるデメリットもいろいろあります。しっかり考えた上で、それでもなお地域おこし協力隊がいいのか自問自答してみてください。

主体的に動ける人間じゃないときつい!

この記事を読む中で気づかれたと思いますが、地域おこし協力隊は主体性がないと、かなり厳しい戦いとなります。

協力隊を考えているけど、主体性に不安がある人は、自分で決めて実行する経験を学生のうちにしておいたほうがいいでしょう。

OBOGから話を聞こう

地域おこし協力隊、あまりよくわからない存在だと思うのでぜひOBOGから話を聞いてみましょう。自分が行きたい地域に先輩がいるなら、ぜひコンタクトをとってみましょう。

協力隊の中には情報発信している人もたくさんいるので、TwitterやFacebook、ブログなどをのぞくだけでもわかることがたくさんあります。

地域は必ず見ること

応募を考える段階になったら必ずしてほしいのが、地域を見るということ。

実際に訪れて、空気を感じ、地域の人と話してみてください。地域性には合う合わないが必ずあります。自分に合うかどうかはとっても大事です。

また、地域資源(自然環境や産業)や地域の規模感もチェックしておきましょう。自分のやりたいことがしやすい環境かどうか見極めましょう。

そして、地域を訪れたら、地域おこし協力隊の担当となる課の職員さんと必ず話しましょう。気になる
疑問点はしっかり質問して解消しておきましょう。

最終的に自分できめること

いろんな人の意見を参考にしつつも、最終的に決めるのは自分自身。
自分のことを一番よくわかっているのは他でもなく自分です。

いろんな情報を参考にして、たくさん自分と向き合って、一番納得のいく道を選んでもらえたらいいなと思います。

まとめ

パソコンや資料を広げて複数人で仕事をしている様子

わたしは新卒なので、初めての社会人経験が地域おこし協力隊です。他の選択肢は知らないし、実際に経験したことがないものを比べることができません。

新卒で地域おこし協力隊はさいこう!と思っていますが、それが他の人に当てはまるかはわかりません。 それぞれの人にそれぞれの道があると思います。わたしにとっては、新卒地域おこし協力隊が一番の道でした。

まだこちらの記事を読んでない方は、ぜひ、もうひとりの新卒協力隊のリアルもチェックしてみてください。

新卒で地域おこし協力隊というキャリアのリアルを現役が語ってみる。メリット・デメリットを本気で書き出していきます。

わたしはまだ、何も成し遂げていない身ではありますが、地域おこし協力隊として過ごした日々は必ずやりたいことへつながっていると確信しています。

そんなわたしの任期はあと、9か月です。
残りの協力隊ライフと、卒業後の夢への道をよかったら応援してください!

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追記

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