はじめに
こんにちは!
ニュージーランドで観光ドライバーガイドをしている かな です。
この記事ではワーキングホリデーで渡航した私が、ニュージーランドでPライセンス(二種免許)を取得した方法とその手順について紹介しています。申請時に迷うポイントについても詳しく解説しました。
長い記事になるので、必要な部分から読んでいただければと思います。
Pライセンスの取得は事前準備がとても大切です。
Pライセンス取得予定の方、取得可能性がある方、ニュージーランドで観光業に従事する可能性のある方は、ぜひこの記事を参考にしっかりと準備を進めてもらえればと思います。
Pライセンス(P endorsement)とは?
Pライセンスとは、日本でいう二種免許のようなものです。英語では「(P)endorsement」と言われています。
日本と同じようにニュージーランドも、普通免許だけではお客様を乗せて運転することができません。そのため、タクシーやバス、ウーバーの運転手、車にお客様を乗せて案内する観光ガイドはこのPライセンスを取得する必要があります。
(もちろん、プライベートで家族や友人を乗せることは普通免許だけで問題ありません。)
Pライセンスには、小型車(Small vehicles)、大型車(Large vehicles)の2種類があり、それぞれ有効期限1年か5年のどちらかで取得することができます。
取得にはまずニュージーランドの普通免許(小型の場合はclass1、大型の場合はclass2)を所持している必要があります。
※小型車は12席以下の車のこと。
日本人がニュージーランドでPライセンスを取得する手順
それでは日本での運転免許を持っている方を想定して、取得手順を紹介していきます。
試験などはなく、費用と書類さえ準備していけばPライセンスは取得可能です。書類によっては発行に時間がかかるものがあるので早めに準備を始めましょう。
※この記事は2024年7月時点で取得した私の体験談に基づくものですので、実際に取得される方は、NZTAのサイトもしっかり確認して申請することをおすすめします。
以下のリンクは、NZTransport Agency Waka KotahiのPライセンスのページです。
英語が読める方はこちらを読んでいただく方が早いかもしれません。
>>Applying for a passenger (P) endorsement
必要書類一覧
必要書類は以下の通りです。各書類の取得についても順に解説していきます。
- 申請用紙 (Application for new passenger(P)endorsement[DL20A])
- ニュージーランドの運転免許証
- 健康診断書 (Medical certificate completed by registered health)
- 運転記録証明書 (traffic records)
- 犯罪経歴証明書 (police records)
- 免除申請(exemption request)受理されると証明書が発行されます
渡航前にやっておくべきこと
ニュージーランド渡航前に、運転記録証明書と犯罪経歴証明書を必ず取得していきましょう。
ニュージーランドからでも取得はできますが、ものすごく時間がかかります!
犯罪経歴証明書
犯罪経歴証明書はニュージーランドから取得する場合は2~3か月かかってしまうので、日本にいるうちに取得しておきたい書類です。
ニュージーランドから取得する場合は、大使館で申請します。
>>警察証明(犯罪経歴証明) | 在ニュージーランド日本国大使館
日本で申請する場合は、住所地を管轄する警察本部にて発給してもらうことができます。
私は和歌山県在住でしたので和歌山市まで申請に行きました。指紋を採る必要があるため、直接本人が行かなければいけません。
「犯罪歴証明書 ”お住まいの都道府県”」で検索して、都道府県警察のWebサイトから申請方法をチェックしましょう。手数料は無料か数百円です。
書類には英語も併記されているので、翻訳する必要はありません。
この時注意してほしいのが、犯罪歴証明書は”渡航先国等の公的機関より提出を求められた場合に限り発給できる証明書”です。そのため、それを証明できないと申請を受け付けてもらえません。
何か証明書類があればいいのですが、Pライセンスの場合そういったものがないので「途中まで書いたPライセンスの申請書」を以って、証明書類としてもらいました。
申請書類は Applying for a passenger (P) endorsement からダウンロードできます。
都道府県や担当者によって対応が異なる場合があるので、事前にどういったものを準備していくべきか警察本部の担当者に電話で確認してから出向くとよいでしょう。
発給までは少しだけ日数がかかります。私は6/25に申請しに行き、7/1に書類ができたと連絡がありました。渡航日に間に合わなかったため、委任状を書き、代理人(友人)に受け取りをお願いし、国際郵便で送ってもらいました。
この書類の注意点としては、封筒を開けてしまうと書類は無効になってしまうので、絶対に開けないでください。受け取りを家族などに委任する場合も、その旨を伝えておきましょう。
ちなみに、海外に12か月以上住んでいた人はその国の犯罪経歴証明書も必要になります。
交通記録の発行
こちらもできれば日本にいるうちに取得しておきましょう。ニュージーランドから取得する場合は、日本にいる家族や友人を代理人として申請することができます。
運転経歴に係わる書類は全部で4種類あります。NZTAのサイトには「traffic records」としか書いていないので、どれを取得すべきか迷うかと思います。(しかもこれを英語で尋ねるのはかなり難しいですよね…。日本の機関に聞いても現地機関に聞いてくれと言われ、NZTAでもわからないと言われ、たらい回しになった記憶があります。)
結論、私の時は「運転記録証明書 5年」でOKでした。
「運転記録証明書」は交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録について証明する書類で、1年、3年、5年の記録が記載されます。この証明書が他の3種類よりも多くの情報が記載されていますので、こちらで問題ないかと思います。
Pライセンスに必要なのは日本での運転経歴が2年以上なので、3年分のものでもよかったのかもしれませんが、念のため一番長い期間の証明を選びました。
手数料は670円。申請用紙を警察署、交番、駐在所、交通センター事務所などで入手して、ゆうちょ銀行からの振込により申込をします。
基本は日本語での発行となりますので、振込用紙の備考欄に「英文希望」と記載します。(上記リンクにも記載見本があります。)
書類ができるまで1~2週間ほどかかり、郵送で受け取れます。
ここまでが日本で行っておきたいことです。
日本の免許からニュージーランドの免許に書き換え
ニュージーランドに着いたら、まずは日本の免許からニュージーランドの免許に書き換えます。
大前提として、Pライセンスの取得にはニュージーランドの普通免許を取得している必要があります。簡単に書き換えられますので、サクッと済ませておきましょう。
こちらは参考記事がたくさんあると思いますので詳しく説明しませんが、迷うことはあまりないはずです。もし友人に尋ねる場合は、国によって方法が違うので日本人の友人に尋ねるといいと思います。
免除申請
Pライセンス申請にはニュージーランドの免許で2年以上の運転経験が必要です。しかし、海外で同様の経験があれば免除を申請することが可能です。
オンラインで申請することができ、クレジットカードで100NZDの支払いを電話にて行います。
まずは以下のリンク先の内容を読み、電話で支払いを済ませましょう。すべて英語でのやり取りになりますが、ニュージーランドの免許証とクレジットカードを用意し落ち着いてやれば大丈夫だと思います。
>>Exemption from learner or restricted requirements
支払いが終わったら、以下のリンクからオンラインで免除の申請を行います。
>>Application for an exemption to carry passengers on a restricted licence
ここに何を書いたらいいのかとても迷うかと思います。
これが正解とかではないですが、以下に私が申請した時の文章も紹介しますので参考にしてみてください。ちなみにChatGPTに一緒に考えてもらいました。ネイティブのお知り合いがいるなら手伝ってもらうのもいいと思います。
免除申請文書の参考(クリックすると開きます)
■Exemption details I have been driving for over 15 years in my home country, where the driving conditions are very similar to those in New Zealand. During this time, I have maintained a clean driving record with no accidents or violations. I have extensive driving experience and am confident that I am a safe and competent driver, whose experience should be recognized in New Zealand.
■If you’re granted an exemption from complying with a legislative requirement, how will you make sure that land transport safety is improved or maintained? I will ensure safety by strictly following all New Zealand traffic rules and regulations. I will regularly check my vehicle’s condition to prevent mechanical failures. To minimize risks, I will maintain my health, always drive safely, keep a safe distance from other vehicles, and avoid distractions. I will obey speed limits, use indicators correctly, stay alert to road conditions and other drivers, and ensure all passengers wear seat belts to protect them from any potential danger.
■Is there any other information you’d like to provide that’s relevant to your application? Granting this exemption recognizes my extensive driving experience and clean record, maintaining safety. Being able to drive legally immediately will contribute to New Zealand’s employment and economic efficiency. It also allows me to respond quickly to personal or professional emergencies.
免除申請が受理されるとメールにて証明書が届きますので、印刷して申請時に持参します。
私の場合は7/23にオンラインで申請し、7/26にメールで回答がありました。
健康診断
健康診断書も必要です。こちらは有効期限があるので、犯罪歴証明書などの時間がかかる書類ができてから病院に発行してもらいに行きましょう。
どの病院でもこの診断書を発行してくれるわけではないみたいで、直接電話で確認してから予約を取ります。確認の際は「Drivers Licence Medicals」と言うとスムーズです。
私はクライストチャーチの「Christchurch Immigration Health」という移民向けの病院で健康診断を受けました。
予約もスムーズに取れ、受付の方もドクターもとてもやさしく、クライストチャーチで取るならとてもおすすめの病院です!つたない英語にも丁寧に対応してくれました。
診察内容は、胸部の音を聞いたり、問診があるといった簡単なもの。問診も難しい医療用語はグーグル翻訳を使いながら丁寧に行ってくれました。
費用は139.05NZDでした。病院によって異なると思いますが大体こんなものだと思います。
診断書は袋とじのような状態で出してくれるので、封は開けずに申請時まで保管します。
申請書類
Pライセンスの申請用紙 (Application for new passenger(P)endorsement[DL20A])(緑色)は、インターネットからダウンロードすることも可能ですし、申請場所のAAにも用紙が置いてあります。書く項目が多いので、事前に書いてから持って行くのとスムーズです。(AAはいつも混んでます。)
有効期限は1年間と5年間が選べます。違いは申請料金だけで、取得難易度は変わらないそうなので、私は5年間を選びました。(今はワーホリですが、気が変わってもう少しNZに居たいとなるかもしれないし!)
また申請用紙の中には、車に掲示する顔写真の入ったカードに記載するアルファベットを書く欄があります。最大8文字で覚えやすいものということで私は「KANA」と自分の下の名前にしました。ニックネームでもOKです。
AAにて申請
すべての必要書類がそろったら、AAの窓口で申請しましょう。
スタッフの方が書類をチェックして、視力検査、写真撮影を行ってくれます。メガネやコンタクトレンズを着用している方は忘れず持って行きましょう。また、写真を撮られても大丈夫なように身だしなみを整えていきましょう。
Pライセンスの申請は、スタッフさんが慣れてない場合もあり少し時間がかかるかもしれません。
この時に、犯罪歴証明書の封を自分で開けてくれと言われるかもしれません。大丈夫か不安でしたが、複数のスタッフが大丈夫というので封を開けて提出しました。(コピーを取ったら返却されます)
小型車の場合 223.60NZD or 262.40NZDの支払いも済ませたら、あとはライセンスが発行されるのを待つだけです。
申請から3週間かかるということでしたが、私の場合は7/26に申請し、8/6に承認され、その1週間後くらいに免許証が届きました。
免許取得の進捗状況を確認する方法
進捗状況は以下のリンクから確認できます。
>>Check the status of your PVIO application
免許証のNo.と自分の名字でログインできますが、窓口で書類を提出してからログインできるまでに数日のタイムラグがあるので、しばらくしてから覗いてみましょう。
Pライセンス取得にあたっての注意点
犯罪証明書の発行に時間がかかる
もし少しでもPライセンスを取得する可能性があるならば、必ず日本で犯罪歴証明書を取得していくことをおすすめします。ニュージーランドについてから取得しようとしても、取得だけで2~3か月かかってしまうからです。
犯罪歴証明書の取得には書類を準備したり、平日に警察本部に行く必要がありますが、ニュージーランドで長期間待つことを思えば、日本でかかる手間や時間なんて微々たるものです。
取得の可能性があるなら、ぜひ日本でできる準備はしていきましょう。
AA窓口の人が詳しくない場合も
Pライセンスについて、窓口のスタッフ全員が詳しく知っているとは限りません。特に外国人が取得するのはかなり少ないケースだと思うので、質問してもきちんとした回答が得られないこともあります。
実際私も普通免許書き換えのついでに、Pライセンスを取るのに必要な手順を尋ねようとしたのですが、「申請はできるけど難しいと思うよ」と言われてしまいその時は詳しい話を聞けませんでした。
しっかりと準備をして申請すれば取得できると思いますので、窓口の1人のスタッフにNOと言われても、簡単に諦めず他のスタッフや直接NZTAに確認しましょう。
(NZTAに電話しても、NZで2年の運転経験がないとダメだよ~とあしらわれたこともありましたが…)
Q&A
Pライセンス取得までの期間はどのくらいですか?
窓口申請から免許証が手元に届くまで3週間程度です。
申請に必要な書類や手続きについては、以下の通りです。
- 日本→NZ免許の書き換え (申請から免許証受取まで1週間程度)
- 犯罪経歴証明書 (日本: 1週間程度 / NZ: 2~3か月)
- 交通記録証明書 (日本: 1~2週間 / NZ: 1~2週間+国際郵便の日数)
- 免除申請 (オンライン申請から数日)
- 健康診断書 (病院の予約が取れれば即日)
費用はどのくらいかかりますか?
12席以下の小型車の場合、有効期間が1年の場合223.60NZD、5年の場合262.40NZDです。
Pライセンスを取るには日本で二種免許を取得している必要はありますか?
日本で二種免許を取得している必要はありません。(ペーパーでも)日本で2年以上の運転経験があれば取得可能です。
書類準備を除けば、拍子抜けするくらいに簡単に取得できてしまうので、交通ルールの理解や運転の練習は自主的に行いましょう。
Pライセンスの取得には筆記または実技試験はありますか?
筆記テストや実技試験はありません。
必要書類を提出し、視力検査と写真撮影、料金の支払いをすれば免許の申請は完了です。
犯罪歴証明書の発行が出国日に間に合わないかも
出国日に書類の受け取りが間に合わなくても、申請しに行きましょう。ニュージーランドに渡航後に取得するよりも、書類ができてから日本にいる人に代理で受け取ってもらって、国際郵便で送ってもらう方が早いです。
代理人が受け取る場合は、委任状さえあれば誰でも可能です。私は家族ではなく、友人に受け取ってもらい郵送してもらいました。
交通違反歴、犯罪歴がある場合はどうなりますか?
違反歴や犯罪歴がある場合、審査にどう影響してくるのか正直私にはわかりません。NZTAのサイトには「大きな犯罪歴がある人は取得できない」という内容が書かれてあったので、逆に言えば大きな犯罪歴でなければ可能性があるのかもしれません。
まとめ
準備さえしっかりすれば、Pライセンスを取得することは可能です。日本でできることは日本で済ませ、ニュージーランドについてからも、早め早めの準備を進めていきましょう。
ニュージーランドは車社会で、観光業に従事しようとすれば、Pライセンスを求められることが多いと思います。実際にこちらに来て仕事を見つける前に、ライセンスを取得しておくのは大きなアドバンテージとなるはずです。
もし、Pライセンスを取得する可能性が少しでもある方は、時間の節約のためにも日本で「犯罪経歴証明書」「交通記録証明書」を取得しておきましょう!
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